バイオマスタウン政策の進展

 過去国の「バ イオマス・ニッポン総合戦略」政策では全国で多くのバイオマスタウンが指定された。千葉県でも9市町(山武市、白井市、旭市、大多喜町、睦沢町、市原市、館山市、南房総市、香取市)が指定された。バイオマスの活用の進展としては不十分な状態である。様々な活用の取組 が根付いてきたという段階であり、経済性の確保など持続性の観点で は、多くの取組が原料収集、変換、利用の運営面における各段階で課 題を抱えていることが明らかになってきており、安定したバイオマス の活用とその拡大には、課題解決によるボトルネックの解消が不可欠 である。以下のような課題がある。

  1. 原料収集段階-原料が集まらない。
  2. 変換段階-バイオマスの変換のエネルギーコストが高い。
  3. 利用段階-バイオマス製品への需要が少ない。

国が補助金を付けて事業を開始したが経済性、持続性で問題ありの状態だ。その背景には以下の要素がある。

  1. バイオマス技術が蓄積が少ない。品質の良くない原料にて小規模施設でバイオマス製品を製造する技術の程度が低い。
  2. 採算性が低いので設備需要が低く設備が割高になり、よりバイオマス事業者の事業採算を悪くしている。
  3. 通常原料からの製品とバイオマス製品を比較して購入する利点が少ない。

この背景で国が設備購入のみに補助金を付けても大きな進展は起こらない。

 

バイオマス産業都市政策

 東日本大震災以降国は新たに「バイオマス産業都市」政策を決定した。震災・原発事故を受け、地域のバイオマスを活用した自立・分散型エネルギー供給体制の強化が重要な課題である。バイオマス産業都市とは、経済性が確保された一貫システムを構築し、地域の特色を活かしたバイオマス 産業を軸とした環境にやさしく災害に強いまち・むらづくりを目指す地域とした。バイオマス産業都市構想を市町村と企業共同体で作成し、将来像、事業化プロジェクト、地域波及効果、実施体制等を評価する。バイオマスを活用した地域活性化を目指す。バイオマスを活用した産業化に重点をおいた取組である。 平成25年度から事業が開始されたが、現時点で、千葉県下でバイオマス産業都市に指定された市町村はない。

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バイオマス産業都市のイメージ図 

出典:「バイオマス産業都市について」H26年11月 バイオマス産業都市関係府省連絡会議


千葉県でのバイオマス事業の現状

 千葉県庁環境生活部の調査では26の団体や企業がバイオマス事業を展開している。内容は以下の通り。

堆肥・飼料化:9

バイオディーゼル燃料製造:6

木質燃料:5

メタン発酵:4

その他:2

地域の廃棄物を利用した事業が小規模で行われている。バイオマス産業都市が目指す自律・分散のエネルギー供給体制とは程遠い現状です。

 

当NPO法人は事業者のネットワークの「場」を提供します

 同じバイオマス製品を製造する事業者間の情報交換も行われていないようです。まず、情報交換を行い事業課題を認識し課題解決に協力できる「場」を提供するのが当NPO法人の目的です。原料が集まらない、変換コストが高い、需要が少ないではそもそもバイオマス事業者同士の競合も発生しない。地域でのバイオマス事業者が協力し供給体制を整えることがバイオマス産業都市指定の準備となリます。